2009.09.27 (Sun)
「ラ・バヤデール」 東京バレエ団 9月25日 18:30 東京文化会館 その2
東京バレエ団初演のマカロワ版「ラ・バヤデール」。幕開きから、神殿が崩れソロルがニキヤにいざなわれる幕切れまで、舞台の上に繰り広げられる物語から目を離すことができませんでした。ソロルを巡るニキヤ、ガムザッティの織り成す愛と憎しみの模様にはハラハラさせられ、ミラノ・スカラ座からの借り物である重厚な舞台装置は物語に深みを与え、同じく借り物である登場人物たちの豪華な衣裳の数々が目を楽しませてくれました。
バレエは総合芸術とはよくいったもので、ただ単に踊りの水準だけではなく、美術、衣裳、音楽、演奏、といったもろもろのものが合わさることにより、より芸術としての高みに上がっていくのだなということを目の当たりにしたようでした。ヨーロッパに根付くバレエ文化の深さを思い知らされたような思いも・・・
衣裳といえば、東京バレエ団の「白鳥の湖」のロットバルトの白鳥アップリケ衣裳。みる度に気持ちも萎えてしまうとんでも衣裳と自分では勝手に思っているのですが、これとは雲泥の差の(といってもいい?)ミラノ・スカラ座の豪奢で美しい衣装の数々でした。そして、これらを身に着けた東京バレエ団の出演者の皆さん、ひとり一人が衣裳に相応しい演技をみせ、それぞれの役柄にのめり込んでいるようにみえたのも、舞台の上の物語に思い入れることのできたひとつの要因だと思っています。
ニキヤ、ソロル、ガムザッティ、大僧正ハイ・ブラーミン、国王ラジャ、苦行僧マクダヴェーヤ、個性的なキャラクターがそれぞれたっていて、とても見応えがありました。
ソロルの高岸直樹さん。まず、登場時の「バヤデール」独特の両腕を上げてくねらせる動きが柔らかくてきれい。異国の世界へと引き込んでくれます。美しい舞姫ニキヤと永遠の愛を誓いながら、ラジャの娘ガムザッティと婚約した挙句ニキヤを失い絶望に包まれるという、男性としての情けなさもみえるソロルをノーブルに演じ、大きな存在感をみせました。影の王国でのマネージュでは跳躍の高さがあるとはいえないものの、柔らかく上品な連続性のある動きが美しく、光を放った場面でした。シェネも流麗!
上野水香さん、高い背に日本人離れした長い手脚が生きていて、美しい立ち姿をみせます。第1幕の登場では、上手の階段を一歩一歩下りてくる脚使いの柔らかさにハッとさせられました。ガムザッティに呼び出された場でも、舞台に姿をみせるだけで、そこにさっと光の射すような華やかさを感じさせます。
ただ、表情はやや硬く、長い手脚を使った踊りは記号的な動きに終始した印象があるのは少し残念。けれども、その動きは逆に「影の王国」で血肉を伴わないニキヤの幻影の幻想感を醸し出すのには大変効果的で、上手奥の額縁のような舞台装置の中に浮かぶ姿は幻のようでとても美しかったです。
奈良春夏さんのガムザッティ。ヴェールをかけての登場。父ラジャにヴェールをとられあらわになった目には強い力がともり、王の娘としての存在感を感じさせます。愛するソロルとニキヤを別れさせようと、ニキヤに自分の宝石を与えようとする必死さ、そして、ニキヤに刃を向けられみせる怒り。ソロルのために一度は誇りさえ捨てニキヤにせまるのですが、その誇りゆえに、今度は強い怒りを目に宿すガムザッティ。奈良さんのガムザッティの演技は強く印象に残り、また、踊りでもイタリアンフェッテにグランフェッテと華やかさをみせました。
(まだ続く~、てかここまで書いたら一度操作間違えて全部消えてしまったので書き直しました~。ので、根が尽きたのだ・・・トホホ)
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