エトワール・ガラ 2008 Bプロ 8月9日 14:00
男女の濃厚な愛の気配の漂う公演でした。最近、ちょっと愛の足りない私には、少々刺戟的。しょうゆだったかバターだったかといわれれば、当然バター。この世の中心は、男と女の交わす愛で成り立っているのね、もうそれに極まれリ。私も愛の処方箋書いてもらって薬局でお薬もらって潤いたい。
「眠りの森の美女」より“青い鳥”、この作品は、文句なしに楽しい。リアブコの青い鳥はしなやかな跳躍をみせるし、メラニー・ユレルのフロリナは、頭一杯に飾られたティアラもかわいらしい。
「モーメンツ・シェアード」では紫の衣裳のエレオノラ・アバニャートとマニュエル・ルグリ。そのファブリックが二人の身に柔らかくまといつくように、柔軟に繰り返されるリフトは、愛に溢れています。終盤、その高いリフトから時間を断ち切るように男が女を抱き留める。そこからは激情がこぼれ落ちてくるよう。ラストのアバニャートを逆さに持ち上げた形のリフトの造形も美しく余韻を残します。
「白鳥の湖」 第2幕より マチューの愛に溢れた王子。オデット・ルンキナをサポートする指先まで、王子の思いが溢れ、また、寄り添う形には二人の間に電流のように通じ合うものを感じうっとりとする。今まで数回ほどみたことのあるマチュー、その表現力が驚くほどに増していたのは嬉しい喜びでした。
「ロミオとジュリエット」第3幕より 寝室のパ・ド・ドゥ 愛し合った夜から目覚めた清潔な朝。繰り返されるリフトからは、まだ幼いともいえる十代の二人の若く純粋な愛が伝わってきます。そして、交わされるひたむきな抱擁。シルヴィア・アッツォーニの少女ジュリエットの、若い恋人への思い、それを断ち切るように走り去って行くペッシュのくロミオが切ない。
「ドリーブ組曲」 アニエス・ルテステュ デザインの衣裳をまとったアバニャートが、お人形のようにかわいらしい。マチアス・エイマンが当たり前のように軽々とみせる高い跳躍には目を見張る。顔の向きを変えていくグランピルエットも見もの。技をみせあう楽しい作品。観客を楽しませた後は、二人肩を寄せ合って寄り沿い舞台奥へと去っていくシルエットも愛らしい。
「瀕死の白鳥」 マリ=アニエス・ジロのなんという大きな白鳥。鳥の動きもリアルなその大きな生物が息絶えて行く様子はど迫力。たおやかな白鳥と、その死、というより、白鳥組の大ボスがお亡くなりに〜、あと葬式とか盛大にやらなきゃいけないからたいへんだぜよ〜、という風情。
「カノン」 幕開きの逆光が3人の男たちを強く印象づける。上半身には何も纏わない3人の男性からは、その特徴がよりはっきりと伝わってきます。リアブコはしなやかに、イリ・ブベニチェクは同じ動きでも、どこかはみ出してしまったように荒々しく、そして、マチューは、素晴らしく均整のとれた体躯から伸びた美しく長い手足をつかい、内側から溢れ出してくるものを表現していました。 ついでに3人のへそ比べをする。
「マーラー 交響曲第5番 アダージェット」、アッツォーニは最後には息絶えて横たわるのだろうか。白のシンプルな衣裳の二人から滲み出る切なさには、寝室のパ・ド・ドゥに共通するものも感じました。
「トリオ」 リアブコも加わり、デュオがトリオに。なんという大人の香り。マリ=アニエス・ジロの迫力のある長身が、たっぷりフレアのはいった、扱いに手をこまねきそうな長いスカートを自由にひるがえし、大きく踊ります。単色の照明の扱い方も舞台を大人びてみせる。リアブコとブベニチェクの鏡を間にはさんだような複雑な腕の絡み合いも美しく、ごく自然に床の上に転がる様子もおもしろい。
「マノン」第1幕第2場より パ・ド・ドゥ ルグリ、まだ踊りに入る前、机の前で手紙を書いているときからの笑みを浮かべた豊かな表情に、こちらも「マノン」の世界に入り込まされる。そのデ・グリューの笑顔が、手紙から一気にマノンに向けられる。もうテクニックうんぬんの問題ではなく、デ・グリューの喜びに突き動かされる感情の結晶をみた思いで、もはやバレエを越えた愛の喜びに触れることのできたよう。
たくさんのたくさんの愛を浴びた私、食あたりならぬ愛あたり。そういや、帰りのロビーの片隅でもみかけた愛。チュッとする音に振り向けば、そこには顔を寄せ合う日本人の若いカップル。うひゃひゃ〜、恐れ入りましたでございます。ちょっとその愛、私にも分けてくれ〜。
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【Bプログラム】1)「眠りの森の美女」より“青い鳥”
(振付:M.プティパ 音楽:P.I.チャイコフスキー)
メラニー・ユレル、アレクサンドル・リアブコ
2)「モーメンツ・シェアード」
(振付:R.V.ダンツィヒ 音楽:F.ショパン)
エレオノラ・アバニャート、マニュエル・ルグリ/ピアノ:上田晴子
3)「白鳥の湖」 第2幕より
(振付:M.プティパ/L.イワーノフ 音楽:P.I.チャイコフスキー)
スヴェトラーナ・ルンキナ、マチュー・ガニオ
4)「ロミオとジュリエット」第3幕より 寝室のパ・ド・ドゥ
(振付:J.ノイマイヤー 音楽:S.プロコフィエフ)
シルヴィア・アッツォーニ、バンジャマン・ペッシュ
---------休憩---------
5)「カノン Canon in D major」
(振付:J.ブベニチェク 音楽:J.パッヘルベル)
マチュー・ガニオ、アレクサンドル・リアブコ、イリ・ブベニチェク5)「ドリーブ組曲」
(振付:J.マルティネス 音楽:L.ドリーブ)
エレオノラ・アバニャート、マチアス・エイマン
6)「瀕死の白鳥」
(振付:M.フォーキン 音楽:C.サン=サーンス)
マリ=アニエス・ジロ/ピアノ:上田晴子
7)「マーラー 交響曲第5番 アダージェット」
(振付:J.ノイマイヤー 音楽:G.マーラー)
シルヴィア・アッツォーニ、バンジャマン・ペッシュ
8)「ドリーブ組曲」
(振付:J.マルティネス 音楽:L.ドリーブ)
エレオノラ・アバニャート、マチアス・エイマン
---------休憩---------
9)「トリオ」
(振付:S.L.シェルカウイ 歌:C.ブランコ)
マリ=アニエス・ジロ、イリ・ブベニチェク、アレクサンドル・リアブコ
10)「マノン」第1幕第2場より パ・ド・ドゥ
(振付:K.マクミラン 音楽:J.マスネ)
スヴェトラーナ・ルンキナ、マニュエル・ルグリ
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