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2012.10.25 (Thu)

「フィガロの結婚」 ウィーン国立歌劇場 10月20日 15:30  神奈川県民ホール その3

粒よりの美しさが光る女性歌手たち。なかでもバルバラ・フリットリの優雅な気品漂う伯爵夫人の嘆きの歌のなんて美しかったこと。下手より柔らかな光の差し込む中、"Porgi amor"とたっぷりとした弱音に始まるこのカヴァティーナは、「夫を返して、さもなくば私を死なせて」と哀しみが官能的にさえ響いていた。

また、マルガリータ・グリシュコヴァのケルビーノの、青い衝動に駆られる「自分で自分がわからない」のエロチックなこと。また、軍服姿で"Voi che sapete"と歌うそばに、ギターをつま弾くスザンナ、そして美しい伯爵夫人。彼女達の作り出すどこか倒錯的な世界にもドキドキ。

聡明で愛くるしい顔立ちのシルヴィア・シュヴァルツのスザンナの美しい声に芝居にも魅せられる。終幕のフィガロとスザンナの愛すべきハプニングの楽しいこと。先に事情を飲み込み余裕のフィガロに、早とちりな怒りをみせるキュートなスザンナ。それでも、元々親密な二人はすぐに仲直り。場の空気の微笑ましさがよい雰囲気を作り出す。

そのフィガロのアーウィン・シュロットもかっこよかったなぁ。「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」ののびやかさと快活さは、「フィガロの結婚」の隅々までに散りばめられている。

風格あるカルロス・アルバレスのアルマヴィーヴァ伯爵、早熟な少女バルバリーナのヴァレンティーナ・ナフォルニータ・・・生き生きとした登場人物達のそれぞれの輝きは、アンサンブルともなると、より一層の煌めきをみせていたところがまた素晴らしい。

大団円の美しいアンサンブルの後も、下手幕前にまだ残りキスを交わすフィガロとスザンナ、客席の盛大な拍手にハッと我に返り退場、という演出も、最後の最後まで小粋な余韻を残したなぁ。何せ素直に心に訴えてくる演出。演出の暗示に惑わされたり、深読みする必要も全くない。歌手達の生き生きとした表現をそのままストレートに楽しめたのは、心からの喜び。それぞれの役割を懸命に、そして賢明に果たしたフィガロ達の上に、今後また一体どんな騒動が控えているのかしら?と思わず想像も膨らませたくなったこの公演。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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