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2012.05.12 (Sat)

「白鳥の湖」 新国立劇場 5月5日 16:00

ワン・チーミンのたおやかで上品、美しい白鳥。ゆったりめに演奏される音をたっぷりと使い、叙情性豊かに踊られる白鳥はまさにバレエ・ブランの味わい。もともとキャスティングされていたスヴェトラーナ・ザハロワの代役として発表された時には、アジア人に代わるのなら、どうせならば新国のダンサーでみたかったとの思いもあったのだけれど、なかなかどうして感情移入できる踊り手。たいしたみごたがあった。

ドラマティックな序奏のもと、悪魔ロットバルトに白鳥に変えられてしまったオデット姫の物語が始まる。鳥としての繊細な動きを細やかな情感で表現するワン・チーミン。薄幸のオデット姫が大きな瞳で王子の求愛を受け入れるまでの物語が、すんなりとこちらの心に響いてきた。グラン・アダージョの弦がいつにもましてゆったりと奏でられ、その音をたっぷりと使い感情豊かに踊るオデットは、そこに白鳥の化身が現れたよう。これだけの白鳥をみせられると、今度は俄然黒鳥への期待も大きくなる。

舞踏会で王子を惑わせたワンの黒鳥オディールは、白鳥オデットと本質が同じように感じた。同一人物の善悪がオデットとオディールに分裂したという印象。オデットとオディール、くっきりとした違いはあるのだろうか、とも感じられるのだけれど、いや、確かに違う。一人の女性の二面性を見せられたような、これなら王子がオディールをオデットと信じて騙されるのも納得できるか、という黒鳥だった。

終幕、めりはりのきいたドラマティックな演奏に、心もさらに鷲づかみにされる。悲しみの心がみえるワンのオデットとリー・チュンの王子。悪漢ロットバルトとの対決に、結末はわかっていながら、この二人は一体どうなるのだろうかとハラハラドキドキの展開。

王子の衣装よりもスーツのほうが似合いそうなリー・チュンには、直ちにときめくわけにもいかなかったけれども、それでもクライマックス、オデットをリフトで高く掲げロットバルトに向かっていくリーの姿はとても雄々しい。オデットと寄り添い、二人で力を合わせて悪魔を退ける姿は感動的。跳躍力の大きい、品ある王子だった。



パ・ド・トロワは美しい3人(川村真樹さん、本島美和さん、菅野英男さん)で、華やかさが振り撒かれていた。小さい4羽の白鳥の長田佳世さんが美しい。民族舞踊が華やかで大いに楽しめた。湯川麻美子さんのルースカヤは言うまでもなく。八幡顕光さんの道化、おっとりとみえてやることはすごい。湖畔の白鳥たちの群舞の登場はうっとりとする揃いよう。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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