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2012.02.09 (Thu)

「スパルタクス」 ボリショイ・バレエ 1月31日 18:30 東京文化会館 その4

力の漲るワシーリエフのスパルタクスに、彼に寄り添う清楚な花、ルンキナのフリーギア。この二人もさることながら、クラッスス(アレクサンドル・ヴォルチコフ)にエギナ(エカテリーナ・シプーリナ)のパ・ド・ドゥの超絶リフトの連続にも目を見張った。シプーリナのすらりとのびる脚が描く軌跡が美しい。

このシプーリナがまたみものだった。長い手脚、身体を奔放にしならせる踊りには、妖艶さだけではなく、クラッススの愛人の持つ性格の強さが表出する。第3幕では、スパルタクスの仲間を誘惑するエギナ。葡萄の蔓のからむ杖を持ってのその踊りがまたすさまじい艶やかさ。思い切りよくしなをつくり、淫靡な光を目に宿す。この魔力に参ってしまわぬ者が一体どこにいるのか。エギナの手からはまるで麻薬の粉が放たれるよう。人々を狂乱の渦に巻き込む勢いに満ちた、シプーリナの見事に艶かしいエギナだった。

クラッススはクラッススで、一体どんだけ飛ぶの?というグリゴローヴィチの振付に、息苦しいものを覚えるくらいの迫力を感じる。ヴォルチコフの血の気の多さは、少々足を滑らしたとしても、それが振付の一部にみえるくらいの勢い。

「スパルタクス」、最後の最後まで、息をつかせぬ力に満ちていた。槍で串刺しにされ、高く吊し上げられたスパルタクス。妻フリーギアがさらに高いところから、息絶えた夫の胸に盾を横たえる。幕の下ろされるまで、みる者のテンションを上げ続けた迫力のある美しい絵が、胸に刻まれた。ボリショイ、すごし。

そして、ボリショイ・オーケストラがこれまたすごい。美しく響き渡る金管に木管、驚異的に力強い打楽器、美しい音色をぶ厚く響かせる弦楽器群まで、「スパルタクス」という作品の持つ勇壮さ、力強さを空間に出現させる。ボリショイの踊りと音楽の相乗効果で、客席にまで思い切り飛んできた「スパルタクス」のオーラ。これは一体何???というくらいにすごかったグリゴローヴィチの「スパルタクス」!幕ごとの長い長いカーテンコールがこれほどふさわしい公演にも、そうは出会えないだろう。

そして最後に。ワシーリエフ、彼は本物のスパルタクス。こんなにすごいものをみせてくれて、ほんとうにありがとう。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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