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2011.10.11 (Tue)

「ナクソス島のアリアドネ」 バイエルン国立歌劇場 10月10日 15:00 東京文化会館 その2

バスタオルを1枚身体に巻きつけただけの扇情的な姿で登場したツェルビネッタ。その後のドレスも胸の膨らみを強調し、赤い唇に赤いヒールと挑発的。コロラトゥーラを駆使するソプラノは、音階を軽く駆け上がり、高音のトリルも美しく震わせる。パズルのピースを一つも違えることなく目指す場所にピシッとはめ込むように、気持ちのよい正確さを響かせる。

赤のハイヒールの脚を太腿もあらわに左右に大きく開脚してみせ、男達の腕で宙高くリフトされ、その体勢のままで歌い続けてみせるのはたいしたもの・・・なのだけれど、どうも自分にはこのツェルビネッタ、根は生真面目な女性が悪ぶっているようにみえる。とっても真面目なコロラトゥーラ・ソプラノ・・・

・・・なので、死を望みながら、愛に満ちる変容をとげるアリアドネ、そしてその対極に位置し現実的に愛に対処してゆくツェルビネッタの二人の比較に左程ドラマティックな印象はうけなかった。

それにしても音楽の運びはとても美しかった。プロローグでは、歌詞、あるいは台詞のドイツ語の独特のリズムを保つ響きと、オーケストラの掛け合いの間合いが絶妙。音楽教師のマーティン・ガントナー、舞踊教師トーマス・ブロンデル、執事長ヨハネス・クラマの言葉の明晰な発声がとても気持ちいい。

水の精、木の精、山びこの美しい三重唱、ハレルキン、スカラムッチョ、トルファルディン、ブリゲッラたちの重唱が楽しめた。水の精の中村恵理さんは小柄な身体で美しいソプラノを響かせていた。

ところで、“白鳥の力士”という称号を冠せられているらしいにもかかわらず、そのヨハン・ボータとエミリー・マギーの二人の間に交わされる視線にはうっとりしたものなのだが、アリアドネとバッカス、アドリエンヌ・ピエチョンカとロバート・ディーン・スミスにはそれほどときめかなかったのはなんでかな~、と自問自答。

白鳥の騎士登場の天上の歌声に対し、バッカス登場の"チ~ルチェ"の1.5倍速かというスピード感にまず呆気にとられてしまったからだろうか。「ローエングリン」では騎士と姫がお家を一緒に建てだしたほのぼの感にもぐっときちゃったのだったっけ。アリアドネの前に習え体操的振付にはさすがに萌えられなかったし。

カーテンコールで登場したバイエルン国立歌劇場のスタッフたちが手にした横断幕「長年の深い友情がこれからも続きますように」には、ほんとうにそうなりますように、と願う思い。

今回の日本へのツアーには、きっとそれぞれの方にそれぞれのドラマがあったのでは・・・その中、素晴らしい音楽で心を満たしてくれた来日の皆様に感謝。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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