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2011.09.28 (Wed)

「ローエングリン」 バイエルン国立歌劇場 9月25日 15:00 NHKホール その4

目の前には、演出家が何らかの意図を持ったであろう光景が広がっているのだけれども、その情景の意を深読みするだけの余裕は自分にはなく、といって、不快に思うこともなく思いの外楽しめた。

後ろ手に縛られ危うく火炙りにされそうになったエルザには、ローエングリンの登場はまだかとドキドキし、騎士の愛の告白、そして口づけする二人の姿にうっとりし、家のレンガを積み上げるエルザとローエングリンの共同作業に微笑ましくなり、異教の神に加護を叫ぶ、半身に金色の光を浴びるオルトルートの禍々しさに圧倒され、巨漢のボータが、むやみやたらに剣を振るう二キーチンをいいようにあしらい、まるで魔法が使われたようにテルラムントの剣が火花を放つのにドキッとし、新居のベッドを燃やそうとするボータに、本火を使うのだろうかと見守れば、本当に火の手が上がったので、すごっと目を見張ったり、この間NHKで放映されたバイロイトの「ローエングリン」で、へんちくりんな王子の帰還をみたばかりだったので、どんな王子が戻ってくるのかな、と思えば、あらっ、ボータに抱えられて舞台に出てきた男の子、パッチリ眼が愛らしい、と可愛らしさを楽しんだり・・・と目で見える表層的な部分をとらえることができたのみ。そんな楽しみ方ができたのも、オーケストラの雄弁な音の運びが「ローエングリン」の物語の本質を明確にし、こちらの心に様々な感情を呼び起こしてくれたからだと思っている。

歌手も皆素晴らしかった。ローエングリンのヨハン・ボータの曇りなく真っ直ぐに伸びやかに発声される、高潔に澄んだ高音がとても美しい。エミリー・マギーのエルザの表情の変化に物語の核をみる。

ワルトラウト・マイヤーの狡猾なオルトルート。復讐を、と叫ぶ高音の迫力、また、幕切れ近くのエルザへの罵りの激しさといったら(短調音階の激烈な下降形の繰り返しにはぞくぞくする!)。椅子の上に仁王立ちのマイヤーは見もの。美しいマイヤーだからこそ絵になる場面。

エフゲニー・ニキーチンのテルラムントは姿がとてもかっこいい。来年3月、新国立劇場のオランダ人がとても楽しみになってきた。クリスティン・ジークムントソンの国王らしい威圧感のあるバス。伸びやかな声の響いたマーティン・ガントナーの伝令。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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