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2011.09.27 (Tue)

「ローエングリン」 バイエルン国立歌劇場 9月25日 15:00 NHKホール その3

夢の中にみた高潔の騎士に出会い、盲目的に信頼した騎士に愛を告白される。しかし、騎士を愛していた筈のエルザの心に芽生えた一抹の不安。そしてその黒雲は次第に広がり、邪悪なオルトルートを触媒とし、禁問のモチーフが不吉に忍び寄り、ついに聞いてはならぬことを夫に問うてしまう。疑念に心を掴まれゆくエルザ。初めの夢見る不思議ちゃんな愛らしい表情から、次第に陰りをみせてゆくエミリー・マギーのエルザの表情がドラマティック。

そして、ケント・ナガノの指揮にオーケストラがすごい。淀みもなく前へ進んでいく音楽が、物語の扉をどんどん開けていく・・・というより、一番すごいのはもちろんワーグナーなのだけれど。物語に応じて短調、長調と変化する曲想、そして散りばめられるモチーフ~たとえば何気なさを装い忍び寄る禁問の旋律、その響きは、目には見えないけれども確かにそこに存在する、不穏な空気を内包する~が情景を雄弁に語る。

その展開にどんどん夢中になっていく。オーケストラの響きは一音一音緻密に組み立てられ、明晰かつ能弁。速いテンポで正確に刻まれる(腕の反射神経のよさまで感じられるくらいの)弦の息の合い具合に感嘆したり、木管の柔らかい美しさにエルザの無邪気な笑みを感じたり。

禁問の戒めを守ることのできなかったエルザ、そして新居のベッドの上にベビーベッドを重ね、石油をまいた上にマッチの火を放つローエングリン。幸せが燃え消えてしまうような悲しみに満ちたこの場面に続き、会場内のあちらこちらから響き渡る高らかな金管。この転換もまさに音のマジック。悲しみに満ちていた心が今度は嫌でも高揚させられる。2階席やバルコニーに配置されたラッパ手から発せられる音が客席を立体的に包む。指揮者が時には俊敏に後ろを振り返り、鋭い目でラッパ手に指示を与える。この時のナガノさんの目がとても印象的で、その2つの目が演奏中、オーケストラを隅々まで見渡していたのだろうな、なんて思いでいる今です。(続く)

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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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