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2011.09.22 (Thu)

「カルメン」 ボローニャ歌劇場 9月19日 15:00 東京文化会館 その3

そしてそして、マルセロ・アルバレス。このホセが素晴らしかった。何てことのない一人の若者が、カルメンという女の虜となっていく。「花の歌」では、女に搦め捕られていく胸の内の苦しみをさらけ出す。人を愛するということはこれほどまでの苦痛を伴うものかと、アルバレスの表現からはひしひしと伝わってきて胸が痛くなった。

母の危篤を知らせにきたミカエラを前に、ここでもカルメンへのドラマティックな歌唱を聞かせたアルバレス・ホセが終幕、屋台の瓶を取り上げ割り、カルメンの首へ与えた一撃。衝撃を受けた部分に手を当て、白の衣裳に滴る血を受けながら呆気なく転がるカルメン。

自らの情熱に忠実に生きた女の、いとも簡単に生を断たれた最期。愛と情熱で満たされていたはずの女の、魂の抜け殻のような骸の手をただ情けなく取り上げ嘆くアルバレス。その姿はどうしようもないくらいに、情熱の行く末の救いようの無さを露わにしていて、思わず涙を誘われた。とことん情けなく女に未練を残しすがるホセの姿を、アルバレスはなんと熱演したことだろう。

第4幕の衣裳もスタイリッシュに美しく着こなすカルメン、声の表現、ヴォリュームにおいては、体格差も激しいミカエラ、そしてホセにはかなうべくもなかったかという印象。

カイル・ケテルセンのエスカミーリョ、白の光るサテン地のスーツも似合う調子のよい男。女たちの素肌に自分のサインを直に書き入れていく姿も様になり、まっすぐに屈折しない能天気な明るさが突き抜ける。ボクサーとしての身体のきれもよく、ちらりとみえる胸の逞しさもなかなか。男性としての輝かしい魅力を説得力豊かに表現していた。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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