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2011.08.20 (Sat)

「ジゼル」 ヴィシニョーワ & チュージン 東京バレエ団 8月17日 19:00 ゆうぽうとホール その3

アルブレヒトのセミョーン・チュージンは、高い背と長い脚の持ち主。見た目が端麗なだけではなく、アルブレヒトとしての気位の高さ、若者特有の傲慢さも持ち合わせています。木村和夫さんのヒラリオンを前にした決然とした態度がかっこよく、鞘から剣を抜く勢いがものすごい。それだけに、バチルド姫の登場にも、先程の敢然とした姿勢を保ったままジゼルを守ることができればどんなによかったことだろう、とさえ思えてきます。ここでは、若者にありがちな浅はかで経験不足な過ちがより強調された、チュージンのアルブレヒトの姿でした。

第2幕ではウィリとして姿を現すヴィシニョーワのジゼル。初めの高速で回ってみせる動きは、ただテクニックに走るのではなく、ウィリの世界~この世ではない次元~に精霊として誕生した尋常でないものを感じさせます。アルブレヒトを思う心がジゼルの魂を実体化させたようなヴィシニョーワ。どの動きからも「ジゼル」の世界を紡ぎ出す心の声が聞こえてくるようです。

リフトでふわりと微かに空気を揺らせて宙に舞うジゼルはまさにこの世のものとは思えません。堅固なサポートでヴィシニョーワを美しく支えたチュージンは、ジュッテの際の上体の反らし具合が美しかった。また、アントルラッセでは長い脚が空中高く上がり、無駄な動きのそぎ落とされたアントルシャ・シスは、これこそバレエを芸術とせしめる極上の“名品”。そして、それらの美しい動きの連続の中に、アルブレヒトの思いを独特なドラマティックさで垣間見せるチュージンの姿にはしばしばハッとさせられ、心を鷲づかみにされたのでした。

ウィリの森の中での、ジゼルとアルブレヒトの二人の思いの交差した結びつきは決して実を結ぶものではありませんでした。それでも、朝の光の差し始める中、マントを掴み百合の花を掲げるアルブレヒトは、ジゼルの大きな愛に包まれ、その愛によって、精神的により深い分別を持ち合わせた青年として歩を進めてゆく前向きな姿を大きく印象づけました。



・・・いつの間にか、チュージンのことばっか書いてるなぁ・・・西村真由美さんのウィリが美しかった。木村和夫さんのヒラリオン、ジゼルへの素朴な思いが伝わって来る。第1幕の幕切れで、嘆きの右腕を突き上げる姿が悲壮。


白のウィリたちが角度を美しく揃わせて、整然と静かなムーヴメントをみせる様子は、まるで一つの大きな生命体(死んでいる乙女たちなのだから、その表現もおかしいのですが) が様々な形に変化する模様を舞台に描いていくようにも感じられました。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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