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2011.08.02 (Tue)

「ロミオとジュリエット」 アメリカン・バレエ・シアター ABT 2011 7月26日 18:30 東京文化会館 その1

なんて美しいジュリー・ケントのジュリエットだったことだろう。バルコニーのパ・ド・ドゥでは、白く細いケントの身体が、上品に美しくロミオへの恋心を表現していくのに見入ってしまった。ジュリエットの心がロミオの腕の中にとけてゆく。

軽やかで美しいリフトが続く。逆さの形のジュリエットが目を閉じたまま、ロミオの身体に寄り添う。その恋心に溢れたケントの表情には、ほんとうにうっとり。

口づけした二人は唇をゆっくりと離し、ロミオを見つめたままのジュリエットは、感極まったような泣き顔をみせる。それも一瞬のこと。顔にはすぐに笑みが広がり、階段を逸る心で駆け上がるジュリエット。初めての恋を知ったジュリエットの心が、異性に思いをかける大人への階段を一気に駆け上がって行ったかにみえた勢いだった。

ゴメスのロミオも見事にロミオ。ジュリエットへの思いの丈を軽々と踊りにのせていく。ケントを支える堅固なリフトが、羽根のように軽く、ジュリエットの心を空間に自由に舞わせる。ジュリエットにとらわれたロミオの若い心が弾けるように、ゴメスもまた、美しく明るい気持ちで爽やかに空間を舞う。

寝室のパ・ド・ドゥ。体重を全く感じさせずに、ロミオとの別れの心の嘆きが軽々と宙を舞う。オフバランスの形をみせたかと思うと、そのジュリエットの身体は一気にロミオに抱きとめられる。ジュリエットの心の激しさをみた瞬間である。

愛する人と一夜を過ごし、どうしようもない別れを心から嘆くジュリエット、パリスを受け入れることが出来ずに拒絶するジュリエット、薬に怯えを抱きながら、心を決めるジュリエット、墓室で息絶えているロミオをみつけ、迷わず死を選ぶジュリエット。心の動きを細やかに表現するケントのジュリエットからは、まるで台詞が聞こえてくるかのよう。目の前に実際にみえる彼女の死の背景に、両親をはじめヴェローナの街の人々の哀しみを思わず想像させてしまうような物語性のふくらみを感じる、ジュリー・ケントの美しいジュリエットだった。(続く)


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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