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2011.05.08 (Sun)

「ロミオとジュリエット」 Kバレエカンパニー 5月7日 15:00 大宮ソニックシティ 大ホール その2

舞台の上でロミオとして生きた熊川さんは、やはり表現力が卓越している。バルコニーのシーンでは、熊川さんが全身でジュリエットを求めているのが伝わってくる。ジュリエットを恋焦がれる思いの切なさといったら。胸が締めつけられるくらい苦しくなるようなその心からの表現が素晴らしくて、大きな感動を覚える。ジュリエットを思う魂が、バルコニーのシーンの舞台の上に喜びに溢れて舞っている。その心を表現する動きはテクニックを超越し、自由に浮遊する若い魂をみる思いがする。

東野泰子さんのジュリエットは、可愛らしく可憐。熊川さんに偶像化されたような、ロミオの手の内にあるような愛らしいジュリエット。純粋にして清純。楚々としてピュア。自分に沸き起こる情熱に熱くなるというより、空気の動きの変化でジュリエットを自然に表現しているように感じた。ジュリエットのロミオを思う気持ちは長く続く1本の糸となり、周りの疾風に翻弄されながらも自分の進むべき道は見失うことはない。どこかから射す光に向かって(それがたとえ死を選ぶことになろうとも)真っ直ぐに疑うことなく歩んでいく、そんな印象を受けたジュリエット。

寝室のパ・ド・ドゥでは、一陣の風のように心が舞う。ジュリエットが少女から大人へ成長していく過程などというものの次元を超え、ピュアな愛の形がみえる2人だけの世界が展開される。もうまわりのものは何も目には入らない。「ロミオ」、「ジュリエット」、とお互いの心が呼び合い、お互いの姿しか目に入らない恋慕の一途さが伝わってくる。実質的な肉体を超越したピュアな魂が舞っていた。素晴らしかった。


橋本直樹さんのマキューシオ、尋常でない身の軽やかさが目にも止まらぬ動きを生み出す。ティボルトに刺されるマキューシオの死への苦しみに、ロミオとジュリエットの悲劇への発端となる説得力を感じる。

針のような尖った鋭さをみせる遅沢佑介さんのティボルト。伊坂文月さんのベンヴォーリオ、柔らかい動きに品のよさのみえるパリスの宮尾俊太郎さん、とKの男性陣の魅力溢れる個性もたまらない。

物語を語る存在感をみせるスチュアート・キャシディのキャピュレット卿、その妻にふさわしい松根花子さんの美しいキャピュレット夫人、並河会里さんの、ごく自然に愉快な動きをみせる乳母。ロザラインの松岡梨絵さんの、ティボルトの死にみせる悲しみも突出し過ぎることなく物語に溶け込む悲しみを呼ぶ。 

ヴェローナの街を、様々な若者達の心が疾走したという印象を受ける優れた舞台であったKの「ロミオとジュリエット」。あまりにも悲しいロミオとジュリエットの死に、お互いのことを純粋に思う気持ちが余韻として残り、終演後しばらくたっても静かな悲しみが再び押し寄せて来るような公演でした。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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