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2011.04.24 (Sun)

「ばらの騎士」 新国立劇場 4月22日 その2


新国立劇場 「ばらの騎士」 2011.4.22


最終日の「ばらの騎士」は、序奏から響きが冴え渡る。嬉しい限り。指揮はマンフレッド・マイヤーホーファー。

そして、アンナ=カタリーナ・ベーンケのマルシャリンがやはり素晴らしかった。時の移ろいに静かに身を沈め、発展途上にある恋人の男の子が大人への道を歩いていくのをそっと後押しする大人の女。諦観の中にまだ情熱の熾火(おきび)も残す図抜けた表現。

大人の女の余裕のマルシャリンに対し、まだ、自分に沸き起こる感情しか理解することのできない若さの持ち主オクタヴィアン。井坂惠さんは、まず気持ちが行動に現れる若い男の子、オクタヴィアンを、小柄な身体をのびのびと使い溌剌と演じていた。ベーンケのマルシャリンと、このオクタヴィアン、二人の対比が音楽的にも輪郭がくっきりとわかる。オクタヴィアンと、安井陽子さんのゾフィーの出会いの二重唱もとても美しい。

そしてやっぱりオックスのワルツは最高。弦のポルタメントがたまらない。緩急自在のフランツ・ハヴラタのオックス。なんて身勝手で調子のよい男。なのにけっして憎めないキャラ。ほんとうに楽しそう。

そんな野卑なオックスも、とうとう気づいたマルシャリンとオクタヴィアンの情事をことさらに騒ぎ立てるような男ではない。男と女の間の秘めやかなその辺は飲み込んでおくぐらいの心はさすがに持ち合わせている。それでも遂には退散せざるを得ない彼が、子供たちや勘定書きにせめられ、床の上に伸びてしまう、そのハヴラタの様子が最高におかしくって!そして、そこにあの独特のリズムで思いっ切り気持ちよく響き渡るワルツが最高に楽しくって!

大騒ぎの後には、再び美しい場面が待っている。人生の陰影を飲み込んだマルシャリンと、若い二人の、人の思いがとけるような陶酔の三重唱が響く。リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」の自在なる華麗な響きに飲み込まれた最終日、今回の公演2度目の観劇。

その他、心に残った場面・・・第一幕の幕切れのマルシャリンが非常に美しかった。外では雨が降り出したのか、屋敷の中の明度が落ち、窓から差し込む光がゆらゆら揺れ動く中、煙草をくゆらせる元帥夫人はアンニュイな横顔をみせる。彼女が深く物思いにふける背景を、ゆったりとした音楽が静かに満たしてゆく。たまらなくなるほど素敵な場面。

最終幕幕切れ、部屋に戻ってきた男の子はハンカチを拾い上げるでなく、お皿の中の何かを取っていった様子。一度目にみた時には何を手にしたのかよくわからなかったので、22日にはオペラグラスを手に、その場を待ち構えていました。どうやら、お皿の葡萄を何粒か持っていったのでは、と思われるのだけれど、どうだったのか・・・

マルシャリンの髪を独特の手つきで結いあげるあのナルシスティックな美容師は、原純さんという方らしい。事務所のサイトで素のお顔のお写真みてわかった。あ、新国の他のオペラでもみたことあるって。場の空気を巧妙に作り上げる方。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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