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2011.04.21 (Thu)

「ラ・バヤデール」 東京バレエ団 4月14日 18:30 東京文化会館 その2

ニキヤとソロルの二人の哀しみと愛の姿が心に残る「ラ・バヤデール」だけれども、ガムザッティとソロルの二人の姿も忘れ難い。

田中結子さんのガムザッティは、イタリアンフェッテも正確にラジャの娘としての誇りを高く保つ。そのガムザッティが、幻想の世界の中にニキヤの姿を追い求めてきたばかりのソロルに、ラジャに伴われ近づいていく様子は、まるで葬送の行進曲に乗って進むかのよう。ガムザッティの真っ赤な衣装が血のように禍々しい。花嫁を迎えるソロルがガムザッティの方を見向きもせずに、胸に手を当てて嘆く様が大いなる不吉を感じさせる。

また、婚礼の場では、距離を置いて直立するソロルとガムザッティの二人の間を分かつように、バヤデール達が2つの輪を作り取り囲む。これから婚礼の儀式を迎えるというのに、二人の心の在りかの隔たりが伝わってくる場面が哀しい。



木村和夫さんのラジャ、娘ガムザッティを見る父親の目が温かい。「ラ・バヤデール」の数々の美しい衣装の中でも、ラジャの衣装はとりわけゴージャス。それをさらりと着こなしてみせる木村和夫さんの風格がかっこいい。

豪華なラジャに対して、対極を行く衣装のマクダヴェーヤ。松下裕次さんが堂に入った苦行僧ぶりをみせる。野卑で、跳躍に回転も荒々しく見もの。ドラマを盛りたてる。

井上良太さんのブロンズ像は小粒でありながら、美しい動きを重視したかにみえた。金色のメタリックな質感は、実は古新聞紙の上で出来上がったってことを頭から振り払うのには少々の努力を要したけれども。

柄本武尊さんのあくの無い端正な大僧正。


とにかく、この東京バレエ団の「ラ・バヤデール」は美しかった。3月11日に思いもかけない大災害に見舞われ、公演直前にキャストを変更せざるをえなかったこの公演。そして、原発事故の先行きもみえず、余震の続く中、来日してくれた振付指導のオルガ・エヴレイノフ、ソロルのゼレンスキーにゴールディング、その心意気が美しい。そして東京バレエ団の皆様一丸となっての公演に向けての強い思い。こうした人と人の心が強く合わさり、舞台をより高い次元の美に昇華させたのでは、とまで感じられた「ラ・バヤデール」。今回のこの東京バレエ団の公演との出会いは、長く忘れることはないと思う。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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