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2011.01.09 (Sun)

「トリスタンとイゾルデ」 新国立劇場 1月4日 14:00 その4


新国立劇場 2011.1.4    


大きな赤い月の下、深手を負ったトリスタン、ステファン・グールドの長いモノローグも素晴らしく聴き応えのあった第3幕。イゾルデを昼の世界に残しているために、夜の世界より戻ってきたトリスタン。自分の飲んだ媚薬を呪う場では色彩を失っていた月も、イゾルデの船の到着を牧笛が高らかに告げる頃には再び赤く染まる。死力を尽くし見事な歌唱を遂げながら、トリスタンの手を赤い血で染めた傷は、彼の命の灯を遂に消してしまう。イゾルデが彼の下に駆けつけるのと入れ替わるように。

「イゾルデの愛の死」、トリスタンの身体から流れ出た血と見まがう赤い衣装のイゾルデを残し、マルケ王もブランゲーネも青い闇の中に沈む。長い長い道を辿った愛の物語はようやく終結をみる。赤い月は沈んでゆき、イゾルデも夜の闇の彼方へ吸い込まれていくという非常に美しい最後の場面。(光の世界に最後の後ろ姿をみせるテオリンに、待ち切れずに拍手を送ってしまうのも、全く無粋な行為であることだなぁ)

イレーネ・テオリン、ステファン・グールドはもとより、エレナ・ツィトコーワのブランゲーネ、苦悩に満ちる老マルケ王のギド・イェンティンス、トリスタンの実直にして忠実なる部下クルヴェナールのユッカ・ラジライネンらの優れた歌唱。そして歌手にオーケストラを統括する大野和士さんの、ワーグナーの示す愛の本質を滔滔と実体化していく指揮。みる者に想像の余地を与え、ワーグナーの音楽の壮大なる響きを最大限に生かしてやまない美しい演出。総合的にこれだけ水準の高いワーグナーの舞台に日本にいながらにして出会うことができるというのも、こたえられない望外な喜び。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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