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2010.11.02 (Tue)

「ペンギン・カフェ」「シンフォニー・イン・C」「火の鳥」 新国立劇場 10月31日 14:00 その2

「ペンギン・カフェ」 振付:D.ビントレー 音楽:S.ジェフェス

前知識ほとんどゼロの中での鑑賞。いや、一つだけ知っていることがあった。絶滅寸前の動物たちが踊る、環境問題をテーマとして扱った作品だということ。

浮き世に渦巻く諸問題から逃避してきた劇場での、なんだかしち面倒くさそうな内容、しかもかぶり物だし・・なんて斜に構えていた心が、軽快にリズムを刻む洒落た音楽、そしてダンサー達の小粋で愉快なステップに、次第にほぐされていくのを感じる。

ペンギンやらヒツジやらノミやらシマウマやらに続いて登場した、熱帯雨林の家族に目が点。だって、バレエ的にはとんでもない恰好なのだもの。人間として、他の動物たちと同じく、ごくごくシンプルな出で立ち。そのなりに、小野絢子さんのくっきりとした顔立ちが実に美しく映えていた。どこか崇高な雰囲気さえ漂うほど。山本隆之さんと子役の3人で、原始の人間の“家族”という単位の中での温かみを滲ませ、ただひたむきに“生きている”ことを感じさせる。

ウーリーモンキーも加わり、楽しく明るく陽気に戯れていた彼らに突然訪れた暗黒。上手から下手へ、下手から上手へ、逃げ惑う登場人物たち。このカオスには、悲壮感というよりも、どこか淡々と記号化された諦観~自分の力では為す術も無い諦めがみえる。一体彼らはどこへと姿を消したのか。

背景一杯に登場したノアの箱舟を思わせる海原の大きな船。彼らはそこに自分達の場所を見出していたのだ。船の中に乗り込んだ様々な種のつがいの動物に人々は、新たな世界にこれから蒔かれる種子(「漂流教室」風の表現になっちゃったけれど・・・)のようである。

その船を、すっとぼけたスマートさをもってヒレで指し示し、敬意を払うペンギンが一匹。なんだかこじゃれていて、(船に乗り込んだ彼らの未来、これからまた困難を乗り越えて切り開いていく未来がみえて)ちょっとぐっとくるラストシーン。

テキサスのカンガルーネズミの福田圭吾さんは、脱力系の愉快で楽しい踊り。ケープヤマシマウマの古川和則さん、身体の縞のデザインが、動きにつれうねるのが面白い。ウーリーモンキーの吉本泰久さん、金のシルクハットで小気味よく軽やかに切れよく踊る。


「シンフォニー・イン・C」 振付:バランシン  音楽:G.ビゼー

アブストラクト・バレエは、美しくて綺麗な形をみせなければならないだけに、かなり踊り手を選びそう。米沢唯さんが印象に残った。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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