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2010.11.01 (Mon)

「ペンギン・カフェ」「シンフォニー・イン・C」「火の鳥」 新国立劇場 10月31日 14:00 その1

「火の鳥」 振付:M.フォーキン  音楽:I.ストラヴィンスキー

素晴らしかった。ストラヴィンスキーの響きがこんなにもバレエ「火の鳥」の表現を支えているなんて。「火の鳥」を映像、あるいは舞台でみるのは何度目かだけれども、音楽にも、内容にもやっと慣れてきたのか、その素晴らしさにあらためて気がついた思い。

オーケストレーションがとにかく巧み。序奏の低弦の同じ音型の繰り返しに、金管が不穏な響きをからませる。間隙を縫うようなハープの一瞬の音。散りばめられる木管の重奏。弦のフラジオレットが異空間への扉を開き、チェレスタの不可思議な音に、カスチェイの魔法の庭園に連れ出される。

音楽が一気に高揚をみせ、舞台にエリーシャ・ウィリスの火の鳥が鮮やかに飛び込んでくる。見事な登場。この火の鳥は、孤高にして、媚をみせることが全くない。装飾性豊かな赤の衣装の火の鳥が、熱い火の粉を細かく舞い散らせながら舞台を駆け巡る。誇り高い冷たささえ感じさせるウィリスの燃え盛る火の鳥!

自分を捕らえたイワン王子(イアン・マッケイ・・・端正な二枚目)の手の中に、自らの赤い羽根を残して去った火の鳥が再び登場するのは、イワンが魔王カスチェイ(冨川祐樹)の前に危機に陥った時。異形の者を踊らせながら、片手を高く掲げ静止したポーズの火の鳥は、そこに女王として君臨しているよう。右腕、左腕を同時に、あるいは交互にはばたかせ、掌、指まで震わせる姿に自尊心の高さを覗かせる。

カスチェイの魔法が解ける大団円。森は消え、舞台には、文明的なロシアの街並みが限りなく広がる。その前には、人間としての尊厳を取り戻した人々の波。これまでの原始的な混沌が再生を遂げた美しさが大きく広がる。キスを交わすイワン王子に王女ツァレヴナ(寺田亜沙子)、終結に向け、輝かしい響きを増していくオーケストラ・・・ちょっと読み違えかもしれないけれど、まるで、人々が古い因習から解き放たれた場面を目撃したような大きな感動を覚える。

「火の鳥」の世界観を表した舞台装置、今回ABTの協力により提供されたという美しい衣装。目の前に広がる光景に、耳に飛び込んでくるオーケストラの響きがお互いをより高みに上らせた「火の鳥」、素晴らしかったです。

・・・王女たちが木の実と戯れる踊り、王女ツァレヴナとイワン王子の、二人の目と目が温かくからむ穏やかな時の流れる出会いも素敵だった。


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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