2010.10.25 (Mon)
ボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエ 合同ガラ公演 Aプロ 10月23日 14:00 東京文化会館 その2
《第1部》
「パ・ド・カトル」 振付:ドーリン
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ルシール・グラーン)
アンナ・ニクーリナ(カルロッタ・グリジ)
ガリーナ・ステパネンコ(ファニー・チェリート)
ウリヤーナ・ロパートキナ(マリー・タリオーニ)
ロパートキナの柔らかいアームの使い方にみとれてしまう。特別感の漂う動き。オヴラスツォーワはアントルシャの連続が軽やか。ニクーリナ、ゆったりとした音楽にあわせ、ふわりと揺れるロマンティック・チュチュの広がりまで美しい。
白に淡いピンクが入ったロマンティック・チュチュ。同じ色彩の花輪のような髪飾り。ステパネンコのみ、大きな花一輪。マリー・タリオーニのロパートキナのみネックレス・・・ってか、リトグラフで残っている1845年の初演時と同じスタイルなのだな。
ふんわりふわふわとした柔らかい動きに、妖精たちの美しい夢の世界をみているような趣。
「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ 振付:プティパ
幕開きの「パ・ド・カトル」で夢の世界に誘い出された心地になり、引き続いて登場したソーモワとサラファーノフに、さらに現実感を伴わない夢のお伽話の中の世界に連れ出されてしまった。お姫様と王子の美しい衣装の二人とも、すらりと現実離れしたスタイルなのだもの。オーロラは、薄紫と白の切り替えのあるチュチュ。くるくるカールした髪にティアラが輝く。王子は、白の衣装に入れられたラインがきらきらと美しく光る。
鋭い脚先が正確なポジションにはまるソーモワ、アティチュードの脚先の高いこと。お人形のように綺麗。サラファーノフをみつめる目が美しい。
サラファーノフはゆとりある表情で落ち着きをみせ、トゥール・ザンレールの着地が見事。品のあるマネージュも余裕綽々。
二人の愛の会話が聞こえてきそうな、息のぴったりあった美しさ。
「海賊」より パ・ド・ドゥ 振付:プティパ/チェクルィギン
ナタリーヤ・オーシポワ イワン・ワシーリエフ
オシポワもワシーリエフも凄すぎ。テクニックを取り立てて誇示するというのでもなく、いともたやすく、ごく自然にとんでもないことをやってのける。それぞれに凄い二人、そのパートナーシップはしっとりと溶け合い、両人とも技術を“バレエ”というアートに美しく昇華させている。
「愛の伝説」より モノローグとアダージョ
振付:グリゴローヴィチ
ヴィクトリア・テリョーシキナ イーゴリ・コールプ
テリョーシキナの女王の苦悩が表現豊かに伝わってきて、胸が痛くなる。赤のヴェールのテショーシキナの細い体が、運命を感じさせるように鋭く動く。
イーゴリ・コルプ、青のぴたりと体に沿う衣装に赤のマント。頭上の王冠から下がる赤のヴェールから顔が覗く。スーパーマンが来たのかと思った。コルプの肩でテリョーシキナが体をのけ反らすリフトが美しい。顔を寄せ抱き合う二人。みつめあいながらも喜びは無い。倒立のリフトから地に滑り落ちる女王、女王を置き去りに去ってしまう画工フェルハド。夢が覚めてしまったのか・・・
「ジゼル」より パ・ド・ドゥ
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ
ヴォルチコホフ男前。ルンキナの容貌、ジゼルにぴったり。ふわりふわりと漂うこの世の人じゃない感じ。
《第2部》
「ナルシスへのレクイエム」 振付:スメカーロフ
ウラジーミル・シクリャローフ
素肌に直に来た燕尾の裾を翻すシクリャローフ。舞台中央に据えられた鏡に向かい自分の姿を映しているところから始まる。いつしか、手には鏡に模した銀のスクリーン。時にはそれに顔をめりこませる。スクリーンに浮き出た仮面のような無表情さが無気味。
そのスクリーンを踏み、激しく振り回したうえに、下手に吹っ飛ばす。絶えないのは苦しみの表情。いつしか消えていた中央の鏡が再び舞台に戻り、舞台を四角く切り取ったようなライティングは、彼を限りのある世界に閉じ込めているよう。心の内へと向かう苦しみが伝わる。
「ライモンダ」より パ・ド・ドゥ
ガリーナ・ステパネンコ アレクサンドル・ヴォルチコフ
ステパネンコの意外に胸もふくよかな女性らしい体型にハッとする。甘いオーケストラの響きにチュチュのラインストーンが華やかに煌めく。
ライモンダの独特のポーズの一つ一つが美しいステパネンコ。打ち合わせる手つきも上品。コーダで二人がみせるテクニックも華々しく美しい。
「別れ」 振付:スメカーロフ
エフゲーニャ・オブラスツォーワ アレクサンドル・セルゲーエフ
可愛らしいオブラスツォーワの、妖艶な一面を見せた作品。濃いメーク、赤い唇。胸元から肩を露わにした真っ赤なドレス。深いスリットから覗く白く長い脚が、リフトの度に男を翻弄する。ドレスの女性らしいラインにシンクロする動き。
初めはオブラスツォーワ一人なのかと思ったら、舞台中央椅子の後ろには男がいた。虚をつかれる。男性は素肌にベスト。セルゲーエフ、颯爽としてカッコいい。しかし女に逃げられ椅子に崩れ落ちる。
「タリスマン」より パ・ド・ドゥ 振付:プティパ
アンナ・ニクーリナ ミハイル・ロブーヒン
どこまでも細くて、極めて女性的なニクーリナに、筋骨逞しくどこまでも男性的なロブーヒンの組み合わせが美女と野獣のよう。ロブーヒンの重力を感じさせる(ちょっとバレエの世界とは逆行してるかもしれないけれど)力強い野卑な魅力に、ニクーリナの女性らしい柔らかな動きが調和してとても美しい。
ロブーヒン、空中で大きく腕を広げ、まるで止まっているかの跳躍。そこにはあたかも別の時間が流れているよう。時さえ力ずくで自分のものにしてしまう力強さ。風の神らしい。
「タランテラ」より パ・ド・ドゥ 振付:バランシン
ヴィクトリア・テリョーシキナ レオニード・サラファーノフ
楽しく軽快。早いテンポで常に跳ね、軽やかに戯れている二人の若い男女。細かいステップをどんどん刻んでゆく。跳ねて跳ねて、とっても楽しそう。
手に持つタンバリンは、赤と白のリボンも可愛らしい。手拍子を観客に促すサラファーノフに、こちらも楽しくなってくる。いいなぁ、こういうの。そのタンバリンを最後には放り出し、キスしたテリョーシキナにはするりと逃げられちゃって、あわてて追いかけるサラファーノフ、魅力たっぷり。
「パ・ド・カトル」 振付:ドーリン
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ルシール・グラーン)
アンナ・ニクーリナ(カルロッタ・グリジ)
ガリーナ・ステパネンコ(ファニー・チェリート)
ウリヤーナ・ロパートキナ(マリー・タリオーニ)
ロパートキナの柔らかいアームの使い方にみとれてしまう。特別感の漂う動き。オヴラスツォーワはアントルシャの連続が軽やか。ニクーリナ、ゆったりとした音楽にあわせ、ふわりと揺れるロマンティック・チュチュの広がりまで美しい。
白に淡いピンクが入ったロマンティック・チュチュ。同じ色彩の花輪のような髪飾り。ステパネンコのみ、大きな花一輪。マリー・タリオーニのロパートキナのみネックレス・・・ってか、リトグラフで残っている1845年の初演時と同じスタイルなのだな。
ふんわりふわふわとした柔らかい動きに、妖精たちの美しい夢の世界をみているような趣。
「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ 振付:プティパ
幕開きの「パ・ド・カトル」で夢の世界に誘い出された心地になり、引き続いて登場したソーモワとサラファーノフに、さらに現実感を伴わない夢のお伽話の中の世界に連れ出されてしまった。お姫様と王子の美しい衣装の二人とも、すらりと現実離れしたスタイルなのだもの。オーロラは、薄紫と白の切り替えのあるチュチュ。くるくるカールした髪にティアラが輝く。王子は、白の衣装に入れられたラインがきらきらと美しく光る。
鋭い脚先が正確なポジションにはまるソーモワ、アティチュードの脚先の高いこと。お人形のように綺麗。サラファーノフをみつめる目が美しい。
サラファーノフはゆとりある表情で落ち着きをみせ、トゥール・ザンレールの着地が見事。品のあるマネージュも余裕綽々。
二人の愛の会話が聞こえてきそうな、息のぴったりあった美しさ。
「海賊」より パ・ド・ドゥ 振付:プティパ/チェクルィギン
ナタリーヤ・オーシポワ イワン・ワシーリエフ
オシポワもワシーリエフも凄すぎ。テクニックを取り立てて誇示するというのでもなく、いともたやすく、ごく自然にとんでもないことをやってのける。それぞれに凄い二人、そのパートナーシップはしっとりと溶け合い、両人とも技術を“バレエ”というアートに美しく昇華させている。
「愛の伝説」より モノローグとアダージョ
振付:グリゴローヴィチ
ヴィクトリア・テリョーシキナ イーゴリ・コールプ
テリョーシキナの女王の苦悩が表現豊かに伝わってきて、胸が痛くなる。赤のヴェールのテショーシキナの細い体が、運命を感じさせるように鋭く動く。
イーゴリ・コルプ、青のぴたりと体に沿う衣装に赤のマント。頭上の王冠から下がる赤のヴェールから顔が覗く。スーパーマンが来たのかと思った。コルプの肩でテリョーシキナが体をのけ反らすリフトが美しい。顔を寄せ抱き合う二人。みつめあいながらも喜びは無い。倒立のリフトから地に滑り落ちる女王、女王を置き去りに去ってしまう画工フェルハド。夢が覚めてしまったのか・・・
「ジゼル」より パ・ド・ドゥ
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ
ヴォルチコホフ男前。ルンキナの容貌、ジゼルにぴったり。ふわりふわりと漂うこの世の人じゃない感じ。
《第2部》
「ナルシスへのレクイエム」 振付:スメカーロフ
ウラジーミル・シクリャローフ
素肌に直に来た燕尾の裾を翻すシクリャローフ。舞台中央に据えられた鏡に向かい自分の姿を映しているところから始まる。いつしか、手には鏡に模した銀のスクリーン。時にはそれに顔をめりこませる。スクリーンに浮き出た仮面のような無表情さが無気味。
そのスクリーンを踏み、激しく振り回したうえに、下手に吹っ飛ばす。絶えないのは苦しみの表情。いつしか消えていた中央の鏡が再び舞台に戻り、舞台を四角く切り取ったようなライティングは、彼を限りのある世界に閉じ込めているよう。心の内へと向かう苦しみが伝わる。
「ライモンダ」より パ・ド・ドゥ
ガリーナ・ステパネンコ アレクサンドル・ヴォルチコフ
ステパネンコの意外に胸もふくよかな女性らしい体型にハッとする。甘いオーケストラの響きにチュチュのラインストーンが華やかに煌めく。
ライモンダの独特のポーズの一つ一つが美しいステパネンコ。打ち合わせる手つきも上品。コーダで二人がみせるテクニックも華々しく美しい。
「別れ」 振付:スメカーロフ
エフゲーニャ・オブラスツォーワ アレクサンドル・セルゲーエフ
可愛らしいオブラスツォーワの、妖艶な一面を見せた作品。濃いメーク、赤い唇。胸元から肩を露わにした真っ赤なドレス。深いスリットから覗く白く長い脚が、リフトの度に男を翻弄する。ドレスの女性らしいラインにシンクロする動き。
初めはオブラスツォーワ一人なのかと思ったら、舞台中央椅子の後ろには男がいた。虚をつかれる。男性は素肌にベスト。セルゲーエフ、颯爽としてカッコいい。しかし女に逃げられ椅子に崩れ落ちる。
「タリスマン」より パ・ド・ドゥ 振付:プティパ
アンナ・ニクーリナ ミハイル・ロブーヒン
どこまでも細くて、極めて女性的なニクーリナに、筋骨逞しくどこまでも男性的なロブーヒンの組み合わせが美女と野獣のよう。ロブーヒンの重力を感じさせる(ちょっとバレエの世界とは逆行してるかもしれないけれど)力強い野卑な魅力に、ニクーリナの女性らしい柔らかな動きが調和してとても美しい。
ロブーヒン、空中で大きく腕を広げ、まるで止まっているかの跳躍。そこにはあたかも別の時間が流れているよう。時さえ力ずくで自分のものにしてしまう力強さ。風の神らしい。
「タランテラ」より パ・ド・ドゥ 振付:バランシン
ヴィクトリア・テリョーシキナ レオニード・サラファーノフ
楽しく軽快。早いテンポで常に跳ね、軽やかに戯れている二人の若い男女。細かいステップをどんどん刻んでゆく。跳ねて跳ねて、とっても楽しそう。
手に持つタンバリンは、赤と白のリボンも可愛らしい。手拍子を観客に促すサラファーノフに、こちらも楽しくなってくる。いいなぁ、こういうの。そのタンバリンを最後には放り出し、キスしたテリョーシキナにはするりと逃げられちゃって、あわてて追いかけるサラファーノフ、魅力たっぷり。
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