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2010.10.20 (Wed)

「くるみ割り人形」 オーストラリア・バレエ団 10月17日 15:00 東京文化会館 その1

マーフィー版「くるみ割り人形」。オーストラリアの暑い夏真っ盛りのクリスマス・イヴ。ロシア人名バレリーナであった老クララの追憶の物語。厳しい訓練を積んだ子供時代から、バレエ・リュス公演で世界各国を回り、メルボルンに定住するまでのクララの姿に、オーストラリア・バレエ史をたどる側面も持たせた作品・・・のようだけれども、それはそれとして、一人の女性の人生の春夏秋冬を、3人のそれぞれ違った世代のダンサー達が演じる様子は実に味わい深い。

クリスマス・イヴの日。懐かしい友を自宅に迎え、フィルムの中の昔の自分の華やかな姿に、ついつい踊りだし激しい疲労を覚えた老クララ(マリリン・ジョーンズ)。彼女がベッドに潜り込むと、そこから入れ代わるように若いクララ(ルシンダ・ダン)が現れる。まぁ鮮やか。彼女は、傍に付き添う医者(ロバート・カラン)の眼鏡をとり、上着を脱がせ・・・その次は、映画だったら、ボトムスでしょ・・・と思っていたら、ほんとにジッパーに手をかけて下ろすという展開に、一瞬マジ??とあせったものの、中から現れ出たのは将校の衣装!

かつての最愛の人将校と、若いクララの踊りは、目が覚めるように美しい。クララは地の重力に逆らい、空に跳ね上がり、脚を高く空に向かい直立させ、恋人の腕の中で自由に旋回してみせる。若さを謳歌するリフトの力強い生命力!そこには、老クララの今は失われてしまった昔の輝きが見出され、とても切ない気持ちに浸される。

若さとは、これほどまでに大胆に、自分の肉体を思うがままに操ることができるものなのか。若さの煌めき、放埒、自由・・・空間を立体的に支配し、素晴らしい光を放つ若いクララと将校。

クララの家を訪れた老人たちの愉快なダンスが思い返される。年老いた彼らがいかに楽しんでいるかは大いに感じることができるのだけれども、それぞれの思うがままには既に決して身体を動かすことはできない。彼らの上に流れる時の残酷さまでが垣間見えるようである。

第1幕、幕切れ。舞台の向こうに見ゆるはそびえ立つ帝室バレエ学校。その中心に聖像のごとき輝きを放つバレエの女神の神々しさの元へ、期待に胸を膨らませトウシューズを抱きしめ歩み進むクララ(柴平くるみ)。彼女は、さらに時間を遡った子供のクララ。まだ恋を知る前の、未知の世界へと勇んで足を踏み入れるクララである。(続く)


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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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