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2010.10.13 (Wed)

マーフィー版 「白鳥の湖」 オーストラリア・バレエ団  10月9日 15:00 東京文化会館 その4

第3幕、舞踏会。そこに思いがけずも登場したのは、白のオデット。今度はなんとオデットとロットバルト男爵夫人の立場が逆転してしまう。な、な、なんだ、これは???可愛そうにと思っていたオデットが、今度は、愛する王子を奪ったロットバルト男爵夫人と同じことをしているではないか。

もちろん、元々王子はオデットの夫であるのだから、それは決しておかしなことではないのだけれど、男爵夫人の、あの嘆きよう、王子にすがる惨めな姿をみていると、今度はオデットが、男爵夫人にされたことの意趣返しをしているようにみえる。「白鳥の湖」のヒロインに相応しい由緒正しき高潔な美しい姿であるようには思えない。目には目を、歯には歯をではないか。オデットよ、男爵夫人と同じレヴェルになり下がっちゃってよいのか?なんということ!これは全く、目新しい魅力にふらふらと吸い寄せられる、優柔不断な王子が一番悪いのではないのかいっ!と腹立たしい思いにさえ陥る。

ここでの、オデットと、彼女の新たな魅力に捕らわれてしまった王子の、美しい筈のパ・ド・ドゥを、決してうっとりとみることはできなかったのだな。だって、この愚かな王子は、また一人の女を不幸にしているのだもの。

第4幕、オデットが純白のウエディングドレスの中から黒鳥の姿で出てくるのは一体何故?などと、自分的には???なこの最終幕であったのだけれど、オデットが湖の中に吸い込まれるラストシーンには少々溜飲が下がったのであった。不誠実な王子に全く相応しいラストシーン。愚かな彼の行為に価するその結末を、王子はこれから先の人生、胸に抱えて生きていかねばならない。これもオデットの身を挺したある種の復讐???

湖面を表す丸い盆に張られた水のさざ波を表現するような布が、すごい速さで穴の中にするすると吸い込まれていく様子は、オデットが湖に沈むのを見事に表現していたなぁ。第一幕では、花嫁オデットと王子が美しく踊る、その後をウエディングドレスの長いトレーンが見事に翻る様に目を奪われる。また、それぞれのシーンの衣装に、サナトリウムから白鳥たちの夢の世界への転換などでみせた、美的感覚に満ちた装置が素敵だった。ツ・チャオ・チョウのはじける笑顔、思い切りよく空中に跳ね上がる姿も鮮やか。

それにしても、オデット、こんな男のために若き身空を暗い湖の底に閉じ込めるなんて、ちょっと哀れ。けれど、それはそれで、自分の中の究極の愛をどこまでも全うした、てことになるのかしらねぇ。彼女ほどの美人なら、他にいくらでもいい男はいるってのにね・・・


・・・・見切る思い切りも時には必要・・・かもっ・・・



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テーマ : バレエ - ジャンル : 学問・文化・芸術

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