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2010.10.09 (Sat)

「アラベッラ」 10月5日 14:00 新国立劇場 その4

温かい気持ちに満たされた第3幕。

そこにいるのは皆、善良な人々。善意、あるいはやむにやまれない思いから出た行為。その釦の掛け違いが、どんどんずれてゆき、それぞれの善良な人々の負の姿をさらしてゆく。マッテオは、愛を交わした筈のアラベッラの素知らぬ様子(当たり前だ。それはズデンカだったのだもの!)に詰め寄るし、マンドリカはマンドリカで、暴れ牛のような彼の態度はアラベッラへの侮辱そのものである。

男達は、虚像(といっても、それは実は短慮なズデンカの、姉、そしてマッテオを愛するあまりの姿なのだけれども)に振り回され、一体何が真実かわからなくなってしまっている。それに対し、アラベッラは、凛とした美しさを保ち、そのたおやかに真っ直ぐに伸びた背筋を決して崩さない。

アラベッラの美しさとともにある強さ、そして、皆の前に真実が明るみになった時に、妹ズデンカに向ける限りなく温かみに満ちた優しさ。アラベッラという女性を支えている、筋の通った美しさと思いやりには実に心を打たれる。また、自分を思い切り恥じ入るマンドリカの潔さは、物語を前へと進めていく。アラベッラが、マンドリカの国の風習に基づき、彼にグラス一杯の水を与えることにより、この愛の物語はついに成就されるのだ。

美しいラインを描く階段を、連れ立ち駆け上がるアラベッラとマンドリカ、婚約という結びつきを得たこの二人の思い切りよい勢い、そして、階段中腹で抱き合いキスしたままの静止、ためを美しく聴かせたオーケストラの幕切れの輝き。心が温かく潤う「アラベッラ」であったなぁ。

・・・この夏の終わりの、大野和士さんのオペラレクチャー・コンサートに出演していた望月哲也さん、アラベッラに求婚するエレメール伯爵を生き生きとした動きで演じているのが楽しい。アラベッラに別れを告げられやけになったのか、酒瓶をつかんでラッパ飲みする姿が実に様になっている。


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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