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2010.10.08 (Fri)

「アラベッラ」 10月5日 14:00 新国立劇場 その3

第2幕。幕が開くと、正面の美しい流線を描く大階段の上に華やかに装った人々が散っている。その大階段を、女王のように降りてゆくアラベッラ。森英恵さんデザインのドレスがとても美しい。すっきりと洗練されたイブニングドレスが、粋でシャープなラインで構築された舞台の上のアラベッラを優雅に上品に包む。また、マンドリカは、パーティースーツの衿元から光沢を放つ赤のマフラーを覗かせ、そのハイセンスな装いは、彼さえをも優美に見せている。

舞台に紗のカーテンを引くだけで、カーテンの前にアラベッラとマンドリカの二人だけの世界が生み出されるのも楽しい。幻影のような別世界で、初めての口づけをかわす二人。しかし、ここでめでたしめでたしでは、物語が終わってしまう。面白いのはここからなのだ。

エレガントにスーツを着こなしていたはずのマンドリカ。アラベッラの娘時代への別れの告げ方を全く誤解しての彼の荒れようがものの見事。大きな身体の彼が、美しいマフラーを、そして、ジャケットを乱暴にも投げ捨て、荒々しくテーブルの上に駆け上がり、歌姫フィアカーミッリをまるで玩具であるかのように手荒く扱い、やけっぱちな態度でそこらの女達とバカ騒ぎを繰り広げ、挙句の果てには、大階段の上から「俺のおごりだ!」と札束までヒラヒラと捲いてしまう。

アラベッラはごくごく理知的に3人の求婚者達に別れを告げているというのに、マンドリカのこの見事な誤解、ウィーンからみれば、うんと田舎の出身の彼の荒れ方がもう愉快至極で、見事に楽しかった。トーマス・ヨハネス・マイヤー、怪演!

舞踏会の会場の上の満天の星の輝く空にはいつしか満月が出ていて、物語の進行とともに軌跡をえがいてみせるという趣向も面白い。(続く)


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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