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2010.08.01 (Sun)

「ラ・ボエーム」 トリノ王立歌劇場 7月31日 15:00 東京文化会館


トリノ王立歌劇場 2010


「ラ・ボエーム」を生でみるのは初めてなので、とっても楽しみにしてたのに、どうも演奏が始まってもいまひとつ気持ちが乗らない。屋根裏部屋での若い男4人の描写は生き生きとしているし、ロドルフォのマルセロ・アルバレスは男らしいし、ミミのバルバラ・フリットリはもう素晴らしいし、「冷たい手」に「私の名はミミ」もその二人が美しく歌い上げるし、なんでこんなに気が乗らないんだろう、開演間近に来たらプログラム売り切れちゃってたからかしら、いや違う、なんでだろなんでだろと考えるうちハタと思い当たったのは、東京文化会館に来る直前に、市川海老蔵小林麻央披露宴、昨晩放映されたのの録画をみちゃったからだ、きっと。

ミミとロドルフォの若く甘い愛も吹っ飛んでしまうような、新妻へのストレートでリアルな愛を惜し気もなく披露した新郎の姿には、架空の愛はどんなに熱くてもかないませんなぁ、な~んて。ミミもロドルフォも甘く伸びやかに歌ってるのに、もっと感動してみたかった。披露宴の映像、帰ってからみればよかった。あ~しまったことした、5階席とはいえ、それなりの額を張り込んでるのにね。

などなど胸の中でブツブツつぶやきながらも、第1幕幕切れ、ミミとロドルフォ二人の“Amor…”と上手奥に消えゆく声の甘さに浸ってみる。オケ音の微かに残る中、まだ少しばかりしか降りぬ幕にすぐに手を打ち始めた観客には、客席のあちらこちらから「シーッッッ!!!」という声にならぬ声が見事に飛び交う。いわゆるフライングなんとか、てやつだったわけですな。

今日の「ラ・ボエーム」で一番心打たれたのは、最後。命の灯の消えゆくミミのPP(譜面見たわけではないからもっとPが付いてるのかどうかは知らないけれど)の美しく繊細な声が5階席まで伸びやかに上がってくる。見事。こと切れ、マフで温めていた右手がベッドの上に力なく落ちる。ミミの死に慟哭し、彼女の肩に顔をうずめるロドルフォ。フリットリのミミの身体からは、体温がどんどん失われれていくのがわかるようだった。

それから、雪景色の第3幕。ミミの「憎むことなく別れましょう」“Addio, senza rancor”の台詞が、苦境に陥った若い男女の力の無さを物語りとても哀しい。第3幕は、冒頭も幕切れも勢いのよい4度上行の形。雪のちらつく銀世界の中、肩を寄せ合う二人の後ろ姿のシルエットが美しい。ライトが落ちるなか、儚い二人の関係が4度上行の音とともに美しい残像として目の奥に残る。

市井の若者たちの生態を見事に生き生きと音に乗せたプッチーニの、心が思わず浮き立つ軽やかで甘やかな旋律。ミミとロドルフォたちのいついつまでも色褪せることのない若さは、永遠にその中に留まり続けるのだな、確実に。その若さゆえの甘く切ない世界の本日の演奏のスタイルは楷書。今日なんとなく乗れなかったのは結局そんなわけだったような・・・

カーテンコールは盛大。何度も繰り返される。終了後、5階から2階くらいに降りて来た頃に、また客席から拍手が聞こえてきた。中を覗いてみると、再びのカーテンコール。

終演後の帰り道、楽屋横を通ると、既に観客の長い長い列ができている。そういえば、ジャパンアーツのブログで終演後のサイン会の模様が紹介されていたっけ。フリットリ、間近で見たい♪ が・・・並ぼうにもプログラム売り切れてたから、サインしてもらうものがないよ・・・
(明日の分のプログラムは用意されているそうなので、また売り切れる前に早めに行かねばならぬ)


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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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